「夏の甲子園」株式会社は利益10億円以上の優良企業になれる!?

  • 2020年5月8日
  • 2020年5月8日
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みなさんは夏の甲子園がどれぐらい儲かっているか知っていますか?日本だと甲子園は部活動の延長線上のイメージがあるので儲かっているという言い方は少し慣れないかもしれませんが、甲子園はしっかりと入場料を取って運営していますので当然のごとく収支状況が存在します。そこで2018年の第100回記念大会の収支状況を見てみましょう。

【収入の部】
入場料売り上げ         782,364,046円
 
【支出の部】
大会準備費            31,855,918円
出場選手費           103,120,029円
大会役員関係費          36,392,395円
大会費             271,236,578円
大会史製作費            1,383,000円
地方大会費            77,927,887円
本部運営費            30,000,000円
…………………………………………………………………………
差し引き剰余金         230,448,239円
出典:<お知らせ>第100回全国高校野球選手権記念大会収支決算

ちなみにこの第100回記念大会の開催期間は8/5-21の3週間弱。つまり、「夏の甲子園」株式会社はわずか3週間弱の間に約2.3億円の利益を出す優良会社なのです。

ただ、これはよく言われることなのですが夏の甲子園は入場料が安すぎるんですよね…。第100回記念大会のチケットの価格は下記の通りです。

甲子園のチケット価格

券種金額(大人)金額(子供)
中央特別指定席券2,800円2,800円
一、三塁特別自由席券2,000円800円
アルプス席券800円800円
外野自由席券500円100円

最も良いバクネット裏でも2,800円となっており、甲子園球場をホームとしている阪神だとこの席は4,000円は超えてきます。ちなみに夏の甲子園は1日最大4試合見れますが、プロ野球だと1試合です。プロとアマの違いはあれど、甲子園は高校野球の最高峰ですし、もっと価値があるのではと思います。そこでもし仮に「今の入場者数で価格をプロ野球並にした場合の収支はどうなるのか」を見てみたいと思います。

幸いにも先程のリンク先に各券種ごとの総売上と総入場者数が出ています。それらを使って各券種ごとの想定入場者数を割り出すと下記のようになります。

前提:第100回記念大会の有料の総入場者は87.8万人。全ての券種において大人と子供の割合は一定とし、大人55%と子供45%だと全体の総入場者とほぼ一致するのでこの割を使用する。

■中央特別指定席券
総売上 218,353,330円
券種は2,800円のみなので218,353,330÷2,800=77,893人

■一、三塁特別自由席券
総売上 269,772,593円
券種は大人2,000円、子供800円で上記の割合を適用すると
のみなので269,772,593÷(2,800*55%+800*45%)=184,776人

■アルプス席券
総売上 165,992,223円
券種は800円のみなので165,992,223÷800=207,490人

■外野自由席券
総売上 128,245,900円
券種は大人500円、子供100円で上記の割合を適用すると
のみなので128,245,900÷(500*55%+100*45%)=400,768人

となる。この人数を使って阪神の甲子園での公式戦において最も安いチケットを適用すると、

甲子園のチケットがプロ野球価格になった場合の仮定

券種入場者数(大人)入場者数(子供)金額(大人)金額(子供)総売上
中央特別指定席券42,89135,0924,500円4,500円350,923,500円
一、三塁特別自由席券101,62783,1494,500円4,500円831,492,000円
アルプス席券114,12093,3712,400円900円357,921,900円
外野自由席券220,423180,3461,600円600円460,884,400円

※中央特別指定席券はプロ野球だと年間シートなのでオープン戦の価格を適用。

となり、これらを合計すると2,001,221,800円(約20億円)となります。
上述した実態だと782,364,046円でしたのでなんと12億円以上のプラス
そしてチケットの価格変更のみで支出はそのままだとするとなんと利益はなんと1,449,305,993円(約14.5億円)にものぼります。タイトルにあるとおりでまさに10億円以上の優良企業に。そして注意したいのはこれは3週間弱の開催でということ。

もちろん、こうすることで甲子園球場との契約も変わってくるかもしれませんし、何よりもボランティアの方などもいると思いますのでその辺りはどうするかなども出てくるかと思います。そして、何よりも高校野球はあくまでも部活の延長で教育なので利益を追い求めるとはけしからん的な論調は必ずあるかと思います。個人的には教育であろうがなんであろうが利益を出すことは悪いと思いませんが…ただ、上記のリンクにこのような一文があります。

 剰余金は、高校野球200年構想推進基金に1億5千万円を充当するほか、全国高校軟式野球選手権大会に700万円、全日本軟式野球連盟、日本学生野球協会、全国中学校軟式野球大会に各100万円を助成金として配分し、指導者や審判員の講習会といった日本高校野球連盟の活動費、第105回の記念大会に向けた積立金などに全額を充てます。

そうなんです、つまりは夏の甲子園で出た利益はこの国の今後の野球の発展のために使う形になっているのです。であれば、夏の甲子園でもっと稼いで未来の子どもたちに投資することはとっても良いことじゃないですか?それで野球が盛り上がり、より良い選手やスターが現れ、甲子園が盛り上がり、さらに儲かる。さらにはプロ野球もさらに盛り上がる。こう考えると誰も損しないような気がするのですが…。

少し触れておくとアメリカのNCAAはきちんと収益を上げる構造になっており、1つの大学のアメフトのチームだけで年間の売上が約100億円を超え、利益が数十億円という事例も当たり前です。これはスポーツを単なる教育として捉えるのではなく、ビジネスとしても捉え、自立することでより健全な発展ができるという考えが根底にあります。ここまでドラスティックに行かないにしても見習うことはたくさんあると思います。

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