[寄稿]クラッチ力を生かした得点を生み出す「勝負強さ」とは?

  • 2020年7月26日
  • 2020年7月26日
  • Baseball

今回もゴジキさん(@godziki_55)による寄稿記事となります。ちなみに前回のゴジキさんの記事で巨人・田中豊樹選手の支配下登録を予想されていましたが、まさに7/26に支配下登録されてドンピシャの内容に。よろしければ合わせてお読みください!

[寄稿]ゴジキが選ぶ2020巨人、注目の若手選手

今シーズン「勝負強さ」が磨かれてさらに「4番」らしくなった岡本和真

今シーズンの岡本和真は、オープン戦から非常に状態は良いことはもちろんだが、以前よりも「4番打者」として打点を生み出せるようになったことは確かだ。

公式戦が開幕し、2戦目で2本のタイムリーを放ち、3戦目では逆転ホームランをライトスタンドに放ったが、この打撃が継続できれば、タイトル争いをするレベルになっていくに違いない。

また、開幕2戦目の終盤に軽打をした上でライト前へのタイムリーや、広島戦でも先制のタイムリーやビハインドの場面で同点ホームランを放ったが、このように場面に応じた打撃ができると、要所でチームを勝利に結びつける打点を生み出せる打者になっていけるだろう。

さらに、今シーズンは飛ぶボールの恩恵もあるおかげか、余裕を持ってボールを待つことができ、コンタクト力が向上しつつ、センターから右方向への長打が増えており、レベルアップしていることは明確だ。

現在は24歳という若手の部類に入るが、かつて広島の4番を担い巨人にも在籍していた江藤智のレベルに既に達しつつあり、キャリアハイの見込ち値としては、全盛期の小久保裕紀のような成績に達することが理想的である。

そして、巨人の「4番・三塁手」といえば、ミスターこと長嶋茂雄や現監督の原辰徳など、生え抜きスター選手が代々引き継がれていた中「令和を代表する巨人の4番」として岡本和真の名前が巨人の歴史に残すことだろう。

中田翔・浅村栄斗から見る大阪桐蔭勢の「勝負強さ」

近年はWARやOPSなどの数値が重視されて、打点などの打撃成績は旧来的な指標としてもみられがちだ。しかし、どのような形であろうと結局は得点を稼がないとチームは当然勝てないため、「勝負強さ」や「打点を生み出す力」は極めて重要である。そして、この能力に長けた選手はチームのキーマンとなる。

得点圏打率以上に勝負強さを見せている打者の代表例が中田翔である。2014年〜2016年、2018年の4度において100打点を達成した。

下記は、100打点以上を記録したシーズンの得点圏打率である。

2014年.295
2015年.281
2016年.264
2018年.300
(参照:データで楽しむプロ野球)

上記の通り、100打点に到達した4度のシーズンで得点圏打率が3割超えた年は、2018年の一度だけである。走者がいる機会の多い4番打者とはいえ、中田は得点圏打率の数値以上に打点を生み出す能力が高いのは確かだ。

これはシーズンだけではなく、国際大会にも結果として現れている。2015年のプレミア12では15打点、2017年のWBCでは8打点を記録したが、共にチームトップの成績である。さらに、国際大会に関しては4番打者ではなく筒香嘉智の次を打つ5番打者としてチームトップの打点を生み出した。

シーズンや国際大会において、打点を生み出す能力が突出している中田に、チームメイトが打撃成績以上の頼もしさを感じるのは間違いない。

日本代表への選出に関しては、2年連続40本塁打を記録した西武の山川穂高やプレミア12で活躍した大阪桐蔭の後輩でもありながら楽天の4番に座る浅村栄斗が対抗馬であり、ライバルである。シーズンを通してこの2選手を圧倒する成績を残し、以前のように日本代表の勝利に貢献してほしい。

またその浅村も、二塁手ながらも非常にレベルの高い打力を誇る選手だ。

近年は身体を肥大化させて、俊敏性は以前よりも落ちてきたが、打力は全盛期を迎えている。

特に、西武の歴史上日本人野手初の「3割30本100打点」を達成した2018年のシーズンからは球界で見てもトップクラスだろう。

今シーズンも、勝負強さとこれまで以上に力強さも兼ね備えているのを見ると、晩年のキャリアに向けて打撃スタイルも変わっていくに違いない。

ちなみに中田・浅村のこの能力には大阪桐蔭出身ということも関係しているだろう。高校時代から短期決戦の戦い方や勝ち方に慣れている印象が非常に強く、国際大会や短期決戦で苦労せず活躍している場面が多いように思う。

特に、これまでの国際大会を通して見てみると、高校野球で近年安定して甲子園で上位にまで勝ち進む力がある大阪桐蔭出身の選手は、中田や浅村以外の森友哉といった選手含めて高校時代から短期決戦の戦い方に慣れている可能性は高く、勝負所での力の入れ方が非常に上手い選手が多く、難なく国際大会や短期決戦で活躍している場面は多い。

中田翔・浅村栄斗国際大会の成績

・浅村栄斗
プレミア12(2019) 打率.360 0本 6打点 OPS.928

・中田翔
プレミア12(2015) 打率.429 3本 15打点 OPS1.349
WBC(2017) 打率.238 3本 8打点 OPS1.074
(参照:日本野球道)

中田は2015年のプレミア12では文句なしの活躍をして、2017年のWBCでも成績以上に良い場面で打点を叩き出して日本のベスト4進出に貢献した。森友哉はU18の大会の活躍はもちろんのこと、プロ入り後は国際大会ではないが2018年の日米野球に参加して活躍した。浅村も昨年のプレミア12でもさらに成長を見せて、洗練されたのは間違いない。チャンスの際には、状況に応じた打撃で大会MVPの鈴木誠也に次ぐ6打点を記録してチームを優勝に導いた。

出塁率よりも4番打者として「勝負強さ」を重視していたアレックス・ラミレス

現横浜DeNAベイスターズ監督のアレックス・ラミレスも打点を生み出す能力が高い選手の1人だ。近年、強打者の証とされている「OPS1.000」はキャリアで一度も超えたことはない。その一方で「3割30本100打点」は5度達成している。

ラミレスのOPSが高いレベルの打者と比較して低い、主な原因は出塁率である。

4番打者として勝負を避けられることやチームプレーの意識により、出塁率が高くなる打者は多い。しかし、ラミレスは出塁率よりも自らの打撃でチームを勝利に導くことに重点を置いた打撃スタイルであった。そのため、出塁率が従来の4番打者として見ると低い傾向にはあるが、早打ちで打点を量産していき、キャリアでは史上最多期間となる8年連続100打点を達成している。

この打撃スタイルは、元中日監督の落合博満氏からも「4番らしい4番」と評価され、ヤクルト、巨人、横浜DeNAでチームの勝利に大きく貢献した。

得点圏で高い集中力から「勝負強さ」を誇るウラディミール・バレンティン

現役の外国人選手では、ウラディミール・バレンティンも素晴らしい。豪快な本塁打のイメージが強いと思うが、チャンスでなおかつ自身の集中力が高い場面では、勝負強さを発揮する。

特にその場面が多く見られたのは2018年だ。得点圏では、普段の打撃スタイルのように一発を狙いにいくのではなく、軽打でランナーを返していく打撃スタイルが確立されたシーズンだった。これまでに100打点以上を記録したシーズンは、2013年と2018年の2シーズンだが、いずれも131打点と驚異的な数字を残している。

バレンティンは調子のムラっ気が激しいタイプではあるが、2017年のWBCのように短期的に集中力が高まると、非常に高いパフォーマンスを残す選手でもある。

得点圏打率だけではわからない面白さもある

もちろん、かつて阪神にいた今岡誠の2005年シーズンのように、得点圏打率がそのまま打点に反映される選手もいる。ただ一方、チームを勝利に導く打点を生み出す力や「クラッチ力」は、得点圏打率だけではわからない能力もあるのではないか。

現役選手なら、坂本勇人と言った選手も毎年高い得点圏打率を誇るが、ここぞと言う場面で得点が入るようなプレッシャーをかけられるのは巨人なら岡本の方が上だろう。

今回とりあげた選手を見ると、要所で打撃スタイルを変えて軽打に切り替える器用さも兼ね備えている。このように、勝利に導く殊勲打が増えていくため、成績や数字以上にチームから頼られる選手になったのだろう。

上記の選手以外では、西武の山川が昨シーズン終盤に下位打線で起用されてからは、チャンスで軽打する場面が多く見られた。この切り替えを4番打者としてもできると、ワンランク上の選手になれる。

全ての選手に共通するのはチームを勝利に導くために、自ら打点を生み出す力があることだ。チャンスの時に得点圏打率と言った成績や数字だけではなく、切り替えられる適応力や集中力と言ったところを見ていくことも野球の面白さだろう。

@HisashiIt710をフォローしよう!