あくまでも僕のイメージではありますが「ケガ人」と聞くとネガティブなイメージがあり、ケガ人が多いほどチームの戦力は低下し、好成績を残すのは難しいのではという仮説を持っています。もちろん、ケガ人というリスクは付き物ですし、そのリスクをうまくコントロールしてこそ強いチームという考えもあるので、もしかしたらこの仮説が間違っている可能性も大いにあります。というわけで今回は自分の仮説が合っているのかを調査してみました。
プロ野球の方が身近ですし、わかりやすいかなと思ったのですがプロ野球でうまくケガ人を定義する方法がなく、一方でMLBには「DL」といういわゆる「故障者リスト」という制度が使われており、ログが残っているので今回はMLBを対象にして調査してみました。
調査方法:
FOX Sportsを元に2018と2019年シーズンの各チームの故障者リスト入りの回数をカウント。7/10/60日故障者が対象で1日は除外。
縦軸がDL回数入り、横軸が年間の勝利数となります。
見ての通りで相関はなく、相関係数としては0.135となります。
個別で見ていくと2019年のヤンキースはリーグ2位の27回のDL入りでしたが、勝利数で見るとリーグ3位の103勝、一方でリーグ1位の29回のDL入りだった大谷が所属するエンゼルスは勝利数で見るとリーグ20位の72勝。その他に見てもリーグ1位の勝利数だったアストロズのDL入りは14回とかなり少ないですし、DL入り1がリーグ最少(11回)はアスレチックスとロイヤルズですが、アスレチックスは97勝に対してロイヤルズは59勝とやっぱり相関はほぼなさそう…。
「ケガ人が少ない方が強い」という仮説はなさそうだなと思いつつ、一応、2018と2019シーズンのプレーオフ進出チームだけでも見てみました。
縦軸がDL回数入り、横軸が年間の勝利数となります。
上述したヤンキース、アストロズ、アスレチックス(勝利数が多くてPO進出)を見れば相関はなさそうだなと思いつつ、こちらがその結果となります。
相関係数は0.076とさらに落ちて、より関係はなくなりました。
これらより「ケガ人が多くても成績が悪くなるとは言えない」という結論に。
特に去年のヤンキースは野戦病院と言われるぐらいケガ人が続出でしたし、むしろエースのセベリーノがシーズンほぼ全休の中で100勝超えを達成し、セベリーノがフル稼働だったら何勝していたのとの声も聞こえていたぐらいでした。ヤンキース以外にもドジャースもツインズもケガ人多くても良い結果を出していますし、やっぱり関係なさそう。どちらかと言えばお金があってすぐ良い選手を補強できる球団の方が良い結果を残していそうという悲しい結果に。
ただ、「すぐ良い選手を補強できる」という意味では各チームは下部組織、よく聞く3Aなどのマイナーリーグを持っており、そこからすぐに良い選手を補強できる可能性もあります。そこで各チームが下部組織に何人の「プロスペクト(有望選手)」を持っているかを調査しました。MLBは毎年プロスペクトランキングを発表しており、今回は2019年のプロスペクトランキングTop100に入った人数を使用しております。
縦軸がプロスペクトTop100入りの人数、横軸が年間の勝利数となります。
仮にヤンキースやドジャースなどプロスペクトTop100入りの人数が多ければ相関があるかもと思いましたが相関係数は0.122でほぼ相関なし。そして、ヤンキースは2人、ドジャースは4人という結果に。最も人数が多かったのはサンディエゴ・パドレスの10人でしたがパドレスは2019年は70勝という悲しい結果に…。
MLBのプロスペクトは「即戦力」というよりも「数年後のスター選手」という意味合いが強いですし、契約の問題などあってメジャーに昇格するタイミングも凄く綿密に計算されているのでやはりプロスペクトの人数とは関係がありませんでした。
やっぱり年間の勝利数はチームの総年俸との相関が高いのかなと思いつつ、筒香が所属するタンパベイ・レイズみたいにお金がなくても勝っているチームがいるのでまた別途調べてみたいと思います。