ダルビッシュが最有力のサイヤング賞は何が重視されるのか?

  • 2020年9月24日
  • 2020年9月24日
  • Baseball

今年は60試合しかないMLBもシーズン終盤を迎えており、各投手もあと1回登板があるかないかという感じになっています。そんな中で我らがダルビッシュがサイヤング賞候補の最有力と言われています。(ちょうどこの記事を書いているタイミングでバウアーが好投しましたが…

ダルビッシュ、サイ・ヤング賞予想で1位に

もしダルビッシュが受賞したら日本人初、さらにはアジア人初の快挙となりますのでぜひとも受賞して欲しいモノです。

では、その「サイヤング賞はどうしたら受賞できるのか?」というのを過去のサイヤング賞受賞者の成績を見て考察していきたいと思います。日本の報道やスポーツ番組を見ていると「勝利数が大事!」みたいな話を見ますがここ5年ぐらいMLBをずっと見ている僕からするとかなりの違和感があり、この際調べて見ようと思った次第です。それでは見ていきたいと思います。

ちなみに勝利数や防御率などに加えて、今回は「WAR」「WHIP」「FIP」という現代の野球において投手を測るための指標も合わせて見ていきます。

WAR・・・打撃、守備、走塁、投球を総合的に評価して選手の貢献度を表す指標。※MLBでは「rWAR」と「fWAR」の2つの計算方法がある。
WHIP・・・イニングあたりに平均してどれだけ出塁を許したかを表す指標。1.20~1.40程度が平均的で、値が低いほど出塁を許さず安全な投球をしていると評価することができる。
FIP・・・守備の関与しない与四球・奪三振・被本塁打という3つの項目から、守備から独立した防御率を評価する指標。本塁打以外の打球が安打になるかどうかは運の要素が大きいとするDIPSの考え方に基づき、投手の成績を独立して評価するために用いられる。
出典:1.02 – Essence of Baseball

■2019年

ナ・リーグ

順位投票名前所属投球回防御率奪三振WHIPFIPrWARfWAR
1207デグロームNYM118204.12.432550.972.677.67.0
288柳賢振 LAD145182.22.321631.003.104.84.8
372シャーザーWSH117172.12.922431.022.455.76.5

ア・リーグ

順位投票名前所属投球回防御率奪三振WHIPFIPrWARfWAR
1171バーランダーHOU216223.02.583000.803.277.46.4
2159コールHOU205212.12.503260.892.646.67.4
375モートンTB166194.23.052401.082.814.96.1

ナ・リーグはデグローム、ア・リーグはバーランダーが受賞しました。各指標を見て2人に共通しているのは「WHIP」「rWAR」が1番高いぐらいでしょうか?あとは共に200イニングを超えています。「fWAR」については共に1番高くはなく、勝利数はバーランダーは最多勝ですが、デグロームに至っては11勝でナ・リーグ最多勝が18勝なので大きく劣ります。ア・リーグのバーランダーとコールはかなり接戦ですが、ナ・リーグのデグロームと柳賢振はかなりの差が開いており、これは投球回数が200イニングを超えているかどうかの差とも言われています。つまりは「シーズン通して活躍出来たか」ということになり、その結果としてWARに現れてくると思います。

■2018年

ナ・リーグ

順位投票名前所属投球回防御率奪三振WHIPFIPrWARfWAR
1207デグロームNYM109217.01.702690.911.989.99.0
2123シャーザーWSH187220.22.533000.912.658.47.5
386ノラPHI176212.12.372240.983.0110.25.4

ア・リーグ

順位投票名前所属投球回防御率奪三振WHIPFIPrWARfWAR
1169スネルTB215180.21.892210.972.947.14.8
2154バーランダーHOU169214.02.522900.902.786.86.6
371クルーバーCLE207215.02.892220.993.125.75.5

ナ・リーグは2019年と同様にデグローム、ア・リーグはスネルが受賞しました。ここでの2人の共通点は最優秀防御率のタイトルを獲得しており、なおかつ1点台というのがあります。特にデグロームは10勝と他の2人と比べても勝ち数は劣り、WARについても突出しているわけではないですがこの防御率とFIPの高さが評価されたとも言われています。ちなみにスネルは200イニング切っており、バーランダーとはかなり接戦です。防御率、勝ち数、FIPで言えばスネルの方が大きく上回っていますが、やはり200イニング超えていないというのが少しだけ評価に響いていそうです。

■2017年

ナ・リーグ

順位投票名前所属投球回防御率奪三振WHIPFIPrWARfWAR
1201シャーザーWSH166200.22.512680.902.905.66.4
2126カーショウLAD184175.02.312020.953.074.94
381ストラスバーグWSH154175.12.522041.022.726.45.9

ア・リーグ

順位投票名前所属投球回防御率奪三振WHIPFIPrWARfWAR
1204クルーバーCLE184203.22.252650.872.507.97.2
2126セールBOS178214.12.903080.972.456.07.6
373セベリーノNYY146193.12.982301.043.085.45.6

ナ・リーグはシャーザー、ア・リーグはクルーバーが受賞しました。この2人に共通しているのは「WHIP」が1番高いのみです。あとは共に200イニングを超えています。セールは防御率が少し悪いですがかなり良い数値となっており、なかなかにハイレベルな争いだったことが予想されます。

■まとめ

過去3年分を見るとMVPのように「WARが1番高い」ということで選ばれるのではなく、投手としての総合力が求められているのがわかるかと思います。その中でも下記がポイントかなと感じます。

・防御率
1点台だとかなり評価が高い。
・イニング数
200イニングは超えが望ましく、今シーズン換算だと74イニング
・WHIP
過去3年の受賞者全員は1.00を切っている。

これらを踏まえて現在(9/24終了時点)のナ・リーグのサイヤング賞争いに関わっている選手のデータを見てみたいと思います。

■気になる今年のサイヤング賞争い

名前所属投球回防御率奪三振WHIPFIPrWARfWAR
ダルビッシュCHC73692.22881.002.222.32.6
デグロームNYM42632.14940.921.992.52.6
バーンズMIL40561.77830.951.782.22.6
バウアーCIN54731.731000.792.87※更新中2.5
ラメットSD3165.12.07890.872.502.32.3

※9/24終了時点のデータ

現時点でダルビッシュと同じナ・リーグでサイヤング賞の候補になりそうな選手をピックアップしてみました。ダルビッシュの数字は他の選手とも遜色なく、上の条件を踏まえてもかなり近しい位置にいることは間違いないと思います。ただ、9/24にバウアーがかなり良いピッチングをしてサイヤング賞をかなり引き寄せた感もあります。が、ダルビッシュはまだあと1試合登板を残しており、バウアーはもう登板がありません。次の登板でダルビッシュが6-7回を無失点あたりで凌ぐことができれば、防御率も下がり、WARも伸びるのでバウアーと良い勝負になるのではと思います。ちなみにデグロームもあと1試合残していますので、そちらも要注目です。

2013年のダルビッシュもサイヤング賞の投票で2位でしたが、あのときは貴社投票の1位票はゼロ。今回は間違いなく1位票が入ると思いますし、過去イチでサイヤング賞に近いと思っています。MLBを見始めて10年近く経ちますがここまで近づいたことはないのでぜひともダルビッシュにはサイヤング賞を獲って欲しいものです。

最終登板は日本時間の26日(土)9時10分からの予定です。みんなでダルビッシュを応援しましょう!頑張れ!ダルビッシュ!

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