ダルビッシュの2019年の全2848球を徹底解剖してみた Part.1

  • 2020年4月29日
  • 2020年5月18日
  • Baseball

僕の大好きな選手の1人で2020年シーズン(開幕すれば)のサイ・ヤング賞候補の最有力との呼び声高いダルビッシュ選手の2019年シーズンの全投球を徹底解剖してみたいと思います。事の発端はBaseballSavantというMLBが提供するStatcastのデータが全部載っているサイトを見つけてしまったというところです。なんとここでダルビッシュの2019年の全2848球が見れるではないですか…しかも動画付きで…これは神としか言いようがない。というわけで全2848球を振り返ってみたいと思います。

まずはダルビッシュの2019年のサマリーです。

■2019年サマリー

試合数 先発数 勝利 敗戦 投球回 奪三振 防御率 WAR
31 31 6 8 178.2 229 3.98 2.6

勝利数は物足りないところはありますが後半戦のピッチングは圧巻でさすがというところばかりでした。防御率も3点台で収まっているのでそこまで大きく悪くはないと思います。イニングは数は200いっていないですが奪三振は229。ちなみにこの奪三振229はリーグ全体で14位、9イニングにおける奪三振数は11.54でこちらはリーグ全体で7位と堂々たる数字となっています。年俸に対してWAR2.6はやや物足りないところではありますが2020年はもっとやってくれると信じています。

ちなみに2848球という球数はリーグ全体で41位となっています。1位はMVP Machineのモデルになったとも言われ、さらには今のデータ野球の中で最も進んでいる選手と言っても過言ではないトレバー・バウアーの3687球です。

それでは実際にBaseballSavantのデータを使って全2848球を振り返っていきたいと思います。
※他のサイトでデータが異なる場合でも今回はBaseballSavantを優先します。

■全2848球サマリー

まず2848球の球種内訳です。
最も多いのはカットボール(Cutter)で次に4シーム、スライダー、2シームと続きます。こう見ると速球系のカットボール、4シーム、2シームで60%を超えているのがわかります。また、球種はなんと全部で9種類にも及び、ナックルカーブまで投げているのがわかります。というかチェンジアップ、スプリットがここまで少ないとは思いませんでした。ダルビッシュと言えばスライダーが決め球なイメージありますがその決め球であるスライダーは13.8%。ストライクを取るときにどの球種を投げているかは後ほど見たいと思います。

次は全2848球の投球結果となります。
つまりはストライク(空振り)、ボール、HRなど1球1球がどうなったのかという結果です。ボールに比率が高く見えるのはストライクを見逃しと空振りに分類しているからであって、ストライクを1つにすればボールとほぼ同じぐらいの割合になります。しかし、イニングベースで見れば178回に被安打140本は割合高いなと思いますが、2848球の内140球しかヒットにされていないと思うと改めて凄さがわかります。

他に触れておきたい点としては四球が多いと言われるダルビッシュでしたが投球数が違う2投手、マイコラス(カージナルス/元巨人)、ウェインライト(カージナルス)と比べてもボール球の割合はほぼ同じで著しく高いということはありませんでした。それよりもストライク(空振り)の割合がマイコラスは9.0%、ウェインライトは6.7%に対してダルビッシュは13.5%もあり、改めて空振りを取る能力の高さがわかるかと思います。

    

次にダルビッシュが投げたゾーンの内訳です。(MLBが13ゾーンに分けており、全投球でどのゾーンだったかのデータがあります。)
最も割合が多かったのが右下の⑭のボール球になるゾーン、その次に左上の⑪のボール球になるゾーン。逆に最も少なかったのは右打者ならアウトハイ/左打者ならインハイになる①のゾーン、その次に逆の③のゾーンとなっていました。⑪と⑭は両方ともボール球なのでボールになるところに投げているのが多いのかという意外なところもありつつ、これは実際にこのゾーンに投げて空振りを取れているorボールになっているのかなどを見る必要があると思うのでこの後で見ていきたいと思います。

                             
順位 選手名 チーム 球数
1 ジョーイ・ボット レッズ 58
2 エウヘニオ・スアレス レッズ 56
3 デクスター・ファウラー カージナルス 55
4 ポール・ゴールドシュミット カージナルス 54
5 ポール・デヨング カージナルス 52
6 マット・カーペンター カージナルス 47
7 アダム・フレイジャー パイレーツ 47
8 ニック・センゼル レッズ 46
9 タッカー・バーンハート レッズ 40
10 ヤシエル・プイグ インディアンス 38

最後は球数を多く費やしたバッター上位10名です。(1球ごとにデータあるので打席ではなくてせっかくなので球数ベースで見ます。)
1位はカナダのイチローとも言われるジョーイ・ボットです。イチローが現役のときにピザを送り合ったりとイチローとも仲が良い彼。日本人でボットのことを知っている人はかなりのMLB好きかと思いますが通算の出塁率は.421と驚異の4割超えで2010年にはシーズンMVPも獲っている名選手です。ちなみにレッズ一筋でフランチャイズ選手が少なくなる中ではかなり貴重な存在。出塁率の高いボットだから球数が多いというのはあるかもしれませんね。
2位以下の選手の所属チームを見てみるとレッズ、カージナルス、パイレーツとなっており、このチームは全てカブスが所属するナ・リーグ中地区ですので上位に入ってくるのも納得です。今年は秋山がレッズに入団したのでダルビッシュとの対決がたくさん見れるといいのですが…。
※プイグは途中までレッズでシーズン途中からインディアンス移籍。

と、ここまででかなりの量になってしまいました…。本来は1記事で終わる予定でしたがさすがに長すぎるので何部かに分けて記事にしたいと思います。次はストライクを取ったとき、ホームランを打たれたとき、前半/後半戦別の傾向を見ていく予定です。

ダルビッシュの2019年の全2848球を徹底解剖してみた Part.2

ダルビッシュの2019年の全2848球を徹底解剖してみた Part.3

@HisashiIt710をフォローしよう!