2019年に”最も年俸で得をした”球団はどこか【NPB編】

  • 2020年4月25日
  • 2020年5月1日
  • Baseball

今回は2019年シーズンのNPBにおいて「最も得をした」球団はどこか見ていきます。ちなみに今回の「得をした」の定義は「本来払うべき総年俸よりも支払った総年俸が低かった」とします。確かにそれは得をしていると思いつつも「本来払うべき年俸とは?」という疑問があるかと思います。今回は「本来払うべき年俸」を“WAR”を使って算出します。野球好きな人であれば知っている方も多いと思うのですがWARの説明は下記となります。

WARとは…WAR(Wins Above Replacement)とは、打撃、走塁、守備、投球を総合的に評価して選手の貢献度を表す指標である。同じ出場機会分を最小のコストで代替可能な控え選手(リプレイスメント・レベルの選手)が出場する場合に比べてどれだけチームの勝利数を増やしたかによって計算される。 出典:WAR(Wins Above Replacement)

と少し難しい感じになっていますが要は「その選手がいたことでN勝分プラスだったか」ということになります。つまりは、WARが1なら1勝分、10なら10勝分プラスということになります。マイナスもあるので当然の如くチームに迷惑を掛けているという場合もありえるのですが…。このWARが選手個人で出るようになっており、それらを足し合わせることで各チームのチームWARを出すことができます。そこで2019年シーズンの各球団の勝敗、年俸、チームWARなどをまとめると下記の様になります。
※WARの出典は1.02 – Essence of Baseballとなります。

■セ・リーグ

2019セリーグ

優勝した巨人のチームWARが1位なのである意味で順当ではあります。2-4位のDeNA/阪神/広島とさらには6位のヤクルトまでがほぼ同じ数値で2019年のセ・リーグいかに混戦状態だったのかがわかります。一方で5位の中日はWAR的には2位なのに5位という結果に…投手WARが極端に低いので打てはしたけど抑えることができなかったという感じでしょう。2020年シーズンの予想で中日が比較的上位に来るのが多いのはこの辺りが要因かと思います。

■パ・リーグ

2019パリーグ

パリーグは3位楽天と4位ロッテが逆転していますが、それ以外は概ね順当になっています。しかし、西武の野手WARの高さとオリックスの野手WARの低さと言ったら…

と、こんな形でWARがある程度は年間順位と連動しているのは感覚的にわかるかと思います。ここで、
(全チーム総年俸)÷(全チーム総WAR)=1WARあたりいくらか
を出してみたいと思います。
390.4億÷472WAR=0.8271億/WAR=8,271万円/WAR
なので2019年は球界全体の平均で1WARに対して8,271万円を払っていることになります。この1WARあたりの金額と各球団のチームWARを使って冒頭に書いた「本来払うべき年俸(チーム総額)」を計算します。

本来年俸

1位はやっぱりと思いつつ埼玉西武。本来支払うべき年俸は39.5億円でしたが実際は27.9億円と11.6億円も得した形に。選手ごとのWARについては別の機会で触れたいと思いますが、パ・リーグMVPの森友哉は2019年の年俸は8,000万円でしたがWARが7.8でしたので今回の計算で見ると本来支払うべき年俸は約6億円となっており、かなりのお買い得となっています。
その埼玉西武とほぼ変わらない差額なのがロッテ。本来支払うべき年俸は35.4億円でしたが実際は24.3億円と11.1億円も得しています。ロッテは個別で見ると荻野貴司がとってもお買い得な形に。

最下位、つまりは逆に最も払いすぎな球団はソフトバンク。本来支払うべき年俸は37.3億円でしたが実際は52.3億円と15.0億円も損した形に。まぁ結果的に日本一になったから良いのではという声も聞こえてはきそうですが、やはりソフトバンクだからこそ為せるワザ…ちなみに要因としてはサファテに5億円払いつつも出場試合がゼロ、さらには6億円弱払っている柳田が怪我でWAR1.6というのが大きく響いた形になります。

個人的に気になったこととしてはDeNAの差額が最も小さく、偶然かなと思って2018年も調べてみたら2018年もDeNAの差額が最も小さかったです。(2019年の差額が0.4億円で2018年が0.6億円でした。)もしかしたらDeNAは適正な査定ができているのかもしれません…。

というわけで今回のお題であった「最も得をした」球団は埼玉西武という結果になりました!(パチパチ)

■補足
もっと本格的に分析している人たちからすると弾が飛んできそうな回ではありますが、念の為に補足をさせていただきます。
2019年の年俸は2019年シーズンが始まる前に決まるものなので2019年の成績を保証するものではないですし、そもそもでWARを年俸査定に積極的に取り入れているMLBでは単年のWARではなく、過去数年平均などを使ってもっとより厳密に見ようという流れが主流です。なのであくまでも今回はこういう角度でも見ると楽しいよという提案という形でと…。

ちなみに2019年のMLBは全チームの年俸総額が約5,000億円で全チームの総WARが1,114でしたので1WARあたり約4.5億円という形に。査定の際に1WARあたり6-8億円の価値があると言われていますが、MLBでも衰え、不振、故障などでその通りには行っていないことがわかります。

この流れで次もWARに関することを書いていこうかなと思います。

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