世界のスポーツのビジネスモデルを比較してみた

  • 2020年4月25日
  • 2020年4月26日
  • Business

これまで野球編サッカー編バスケ編アメフト編と世界中のスポーツのビジネスモデル(主に収入内訳)を見てきました。今回はそれらのビジネスモデルを「①放映権」、「②入場料」、「③スポンサー」、「④その他」の4つに分類して見ていきたいと思います。せっかくなので「ブンデスリーグ」と「マイナーリーグ(MLB傘下)」も加えておきました。各リーグごとの収入内訳を比較するとこのようになります。

各リーグ収支内訳

参考:マイナーリーグは記事1,2,3から独自に算出/JリーグとBリーグ共に配分金を放映権に分類し、それら以外はその他に合算

上から市場規模が大きい順となります。

これまで書いてきたようにアメリカ4大スポーツでもあるNFL、MLB、NBAはほぼ内訳が似ており、放映権が約半分を占める形になっています。入場料で差がありますが、リーグに所属するチーム数はほぼ一緒ですのでこの差は「ゲームの試合数×スタジアムのキャパシティ=年間観客動員数」が大きな要因かと思います。NFLは年間で16試合程度でスタジアムのキャパシティは7万前後、MLBは年間162試合でスタジアムのキャパシティは4万前後、NBAは年間82試合で2万前後が主流となっています。

プレミアリーグもブンデスリーグもいわゆるアメリカ型に近しくはあるのですが、入場料に比べてスポンサーの割合が高いのが特徴的かもしれません。これはスタジアム内の看板などのスポンサーのみならず、ユニフォームにも企業ロゴが入るなどのスポンサー契約がありますのでそれが大きな要因かと思います。逆にアメリカの4大スポーツはユニフォームに企業ロゴなどが入っておらず、まだそこが伸びしろでもあると思います。

JリーグやBリーグはプレミアリーグやブンデスリーグと比べてもさらにスポンサーの割合が高くなります。これは「高額のスポンサー契約が結ばれている」というよりも、むしろ「マーケットサイズがまだ小さく、スポンサーの占める割合が大きい」というのが正しいかもしれません。今回のグラフは上から順に市場規模が大きい順に並んでいますので、それに倣うのであればJリーグやBリーグも「リーグ自体の価値を上げていき、放映権が上がっていく」というのが1つの目指す姿なのかもしれません。もちろん、そのためにはファンの獲得は必須であり、それが入場料収入に繋がり、放映権やスポンサー収入の向上となり、良い選手を獲得を獲得できるようになり(≒魅力的なリーグ、チームの作成)、また入場料収入に戻るという好循環を生み出してくれるはずです。

おまけでマイナーリーグの内訳も出しておきましたが、マイナーリーグはおおよそ半分以上が入場料収入となっています。今までのデータや記事からすると、この割合だとあまり利益は出ないのではという懸念もありますが、マイナーリーグで最も価値のある球団の「Sacramento River Cats」だと約50億円の資産価値があると言われており、売上高20億円/営業利益5.6億円というかなり良い数字を出しております。(DeNAがベイスターズを買収したときは約70%の株式で65億円でしたので資産価値としては約100億円です。) また、日本の独立リーグのとある球団ではスポンサー収入が80%を超えるところもあるという話も。それでチーム運営が成り立っているのであればそれはそれで面白いですね。ちなみに独立リーグは少額のスポンサー契約を増やす傾向にあり、理由としては大口の契約が解消された場合に翌シーズンのチーム運営に与える影響が非常に大きく、そのために少額でより多くのスポンサー契約を結んでいるということです。確かにこれは理にかなった考え方かもしれません。

このように知名度や規模や狙いなどの背景によって様々ですので、世界に向けて発信していけるようなリーグやチームであれば放映権を上げていくというのも1つの可能性かと思いますし、地域に根付いたリーグやチームを作るというのが目的であれば入場料やスポンサー収入でやっていくというのも1つの可能性としてあるのではないかと思います。プロ野球、Jリーグ、Bリーグといった日本のプロスポーツがどのような展開をしていくのか非常に楽しみではあります。

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