前回の野球編に続いて今回はサッカー編です。個人的にはサッカーはまだまだビジネスモデルとしてはより洗練できると思っていますし、かなり伸びしろあると思っています。理由としては毎年Forbesが世界のスポーツチームの資産価値を発表するのですがTop50の内訳はこんな感じになっています。
競技人口やファンの数で言えば野球やアメフトに圧勝のサッカーでも資産価値(収益性やブランド価値など評価)で見ると圧勝とは言えず。ちなみにサッカーチームでTop50に入った全8チームの順位と資産価値は下記のとおりです。
3位:レアルマドリード(約4,300億円) – La Liga
4位:FCバルセロナ(約4,000億円) – La Liga
6位:マンチェスター・ユナイテッド(約3,800億円) – EPL
17位:バイエルン・ミュンヘン(約3,000億円) – Bundesliga
25位:マンチェスター・シティ(約2,700億円) – EPL
32位:チェルシー(約2,600億円) – EPL
42位:アーセナル(約2,300億円) – EPL
45位:リバプール(約2,200億円) – EPL
世界的な知名度を誇るレアル、バルサでさえ3位と4位となっています。ちなみに1位はNFLのダラス・カウボーイズで5,000億円。2位はMLBのヤンキースで4,600億円です。NFLは全チーム数が32でそのうち26がランクインするという圧勝っぷり…この辺りはNFLのビジネスモデルの素晴らしさにあるので別の機会で触れたいと思います。(ちなみにこれは2019年のデータで2020年のデータではヤンキースは5,000億円でダラス・カウボーイズはさらに上に。)
と前置きが長くなりましたが野球編と同様にサッカーの収益源について見ていきたいと思います。
Jリーグの場合
NPBが内訳は出ていなかったので内訳が出ているMLBと比較すると大きく異なる点としては「スポンサー収入の割合が大きく、入場料の割合が低い」があるかと思います。MLBは入場料が30%でしたがJリーグは17%。これこそまさにビジネスモデルの違いで、MLBは個人への依存度が高く、Jリーグは企業への依存度が高いとも言えます。ちなみにコロナの前までは「スポンサー収入は年次での振れ幅も大きく、安定収入となる入場料収入を増やそう」というのがスポーツ界の定説であり、勝ちパターンでしたが今回のコロナウイルスの影響でその勝ちパターンも崩れつつあります。もちろん入場料の割合が高いというのはそれだけ実際に足を運んでくれる”熱心なファン”が多いということなので明らかにプラスなのですが、直近の経営という意味ではスポンサー収入の割合が高いJリーグは救われたとも言えるかもしれません。(スポンサー契約が無観客でも満額支払われるのかはわかりませんが…
次に世界のサッカーをと思いますが、各国のリーグによって体制や収益構造が異なりますので今回は上述した資産価値ランキングで最もランクインさせているイングランドのプレミアリーグを見てみたいと思います。(当然の如く、マーケットサイズとしてもプレミアリーグがサッカーでは1番大きいです。
プレミアリーグの場合
Jリーグに比べると分類が3つしかなく、凄くばっくりしていますがこれら3つがとてつもなく大きいということでしょう。
MLBと比較すると「放映権の割合は似ているがスポンサーの比率が高い」
Jリーグと比較する「入場料の割合は似ているが放映権の比率が高い」
というあたりが特徴でしょうか。ちなみにプレミアリーグの放映権は約3,800億円/年でMLBの放映権は約5,000億円/年なので競技人口やファンの数を考えるとプレミアリーグの放映権の伸びしろはまだまだあるように思えます。この辺りはMLBの方が上手いのですが…。ただ、スポンサー収入についてはプレミアリーグが約1,700億円/年なのに対してMLBは約1,100億円/年なのでこの辺りはMLBがプレミアリーグに見習うべきところはあるのではと思います。もっとも今までMLBはユニフォームに企業名を出すのを禁止していましたが来年辺りからは袖のロゴは解禁されるとの噂ですぐさまプレミアリーグを追い抜いてしまいそうではありますが…。(今年からオフィシャルサプライヤーであるNIKEのロゴが伝統あるピンストライプのヤンキースの胸に入って物議を醸し出していますが…
少し話が逸れましたがプレミアリーグもコロナウイルスの影響で言えば入場料の割合が比較的低いので、試合が開催されて無事に放映権とスポンサー収入が支払われればそこまで影響は大きくないのかもしれません…
次回はバスケ編を書きたいと思います。