ヴィッセル神戸がJリーグ史上初の売上100億円超えで営業利益も4.4億円と絶好調なワケ

  • 2020年5月30日
  • 2020年5月30日
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神戸、”イニエスタ効果”でJ史上最高の営業収益114.4億円 初の100億円突破を記録

先日Jリーグ各チームの最新の収支が発表され、上のリンクでも今回のタイトルでもある通りで売上がJリーグ史上初めて100億円を超えたチームとなりました。今回はそんなヴィッセル神戸が絶好調なワケを見ていきたいと思います。

まず売上の内訳をJクラブ個別経営情報開示資料(平成31年度)から見ていきたいと思います。

ヴィッセル神戸の売上について

売上の内訳

項目金額割合
スポンサー74.0億円64.7%
入場料12.6億円11.0%
物販5.3億円4.6%
Jリーグ配分金5.8億円3.3%
アカデミー関連2.7億円2.3%
その他16.0億円14.0%

スポンサー収入が74億円で全体の64.7%を占めています。ちなみにこの74億円という数字は他のチームのほとんどの総売上を上回っており、ヴィッセル神戸に次ぐ2位は浦和レッズなのですがレッズの総売上が82.3億円となっており、3位が川崎フロンターレの総売上69.3億円なのでこのスポンサー収入がどれほど凄いかがよくわかります。ここでヴィッセル神戸とJ1チームの平均の売上構成比を比べてみます。

J1チームの平均と比較

スポンサーについてはヴィッセル神戸が64.7%なのに対してJ1チームの平均は44.5%で50%以下となっていますので、ヴィッセル神戸のスポンサー収入の割合がいかに高いかがわかります。

ここまででヴィッセル神戸の成功要因にはスポンサー収入が大きく関わっているのは間違いないかと思います。ではなぜスポンサー収入が増えたのか?それについては言うまでもなくイニエスタを始めとしたスター選手の加入による知名度の向上があります。ではその”イニエスタ効果”はどれほどのものなのか、ここ数年のヴィッセル神戸の売上推移を見てみたいと思います。

売上の推移

グラフ

実数値

項目201720182019
スポンサー33.5億円62.0億円74.0億円
入場料5.1億円8.4億円12.6億円
物販1.9億円3.9億円5.3億円
Jリーグ配分金4.5億円3.7億円5.8億円
アカデミー関連2.4億円2.5億円2.7億円
その他4.9億円16.1億円16.0億円
合計52.4億円96.6億円114.4億円

イニエスタは2018年シーズンの途中からの加入なので2017年がイニエスタ効果なしの状態、2018年がイニエスタ効果半分、2019年がイニエスタ効果MAXという形になります。

イニエスタ効果で各売上が2倍以上の伸びに

Jリーグ配分金やアカデミー関連は知名度が上がることで売上が上がることはなさそうですが、それ以外のスポンサーや入場料や物販は2017年と2019年を比べると全てが2倍以上になっているのがわかります。特に物販は金額としては小さいですが3倍弱の数字でもっと大きな伸び率になっています。イニエスタが加入したことでスポンサー、入場料、物販などが全て伸び、収益の向上に繋がっているのは素晴らしいことですね。ちなみにヴィッセル神戸は2017年シーズンは1億円の営業損失でした。

と、ここで「ヴィッセル神戸とイニエスタ凄い!」で終わるのも良いのですが、この話をするといつも「イニエスタの給料をちゃんと払っているの?」や「三木谷さんのポケットマネーなのでは?」と言った声がたまに聞かれます。まぁもともとはヴィッセル神戸は三木谷さんの資産管理会社が保有していたという経緯がありますのでわからんでもないですが、今は違います。というわけで今回はヴィッセル神戸の支出についても見てみます。

ヴィッセル神戸の支出について

支出の内訳

項目金額割合
人件費69.2億円62.9%
販管費24.6億円22.4%
トップチーム運営経費7.8億円7.1%
物販関連費4.0億円3.6%
試合関連経費3.1億円2.8%
アカデミー運営経費1.3億円1.2%

当然のごとく人件費が最大の割合を占めており、なんと69.2億円。イニエスタの年俸が30億円超えと言われていますので半分近くを1人で占めることになります。ちなみにJリーグ全体でこの年俸はもちろん1位で、2位も神戸のDFフェルメーレンで5億円と言われています。では、この割合がJ1チームの平均と比べてどうかを見てみます。

J1チームの平均と比較

人件費についてはヴィッセル神戸が62.9%なのに対してJ1チームの平均が50.0%なので平均から見ると13%ほど高い数字になっているのがわかります。イニエスタの年俸がJ1選手の総年俸の10%近くとなっているので、平均よりも高いのは仕方ないことかと思います。それよりもむしろもっと割合として他のチームと比べて歪んでいるのかと思っていましたがそこまで大きな乖離はないのではと思います。

支出の推移

グラフ

実数値

項目201720182019
人件費31.0億円44.7億円69.2億円
販管費13.4億円18.9億円24.6億円
トップチーム運営経費2.8億円5.3億円7.8億円
物販関連費1.8億円3.6億円4億円
試合関連経費3.6億円2.8億円3.1億円
アカデミー運営経費0.9億円1.1億円1.3億円
合計53.4億円76.4億円110.0億円

上でも書いたようにイニエスタの加入は2018年途中からで2018シーズンは年俸の半分を支払っています。フルで年俸を支払ったのは2019シーズンからです。そのため、2017年から2018年で人件費は13億円の増加、2018年から2019年で24.5億円の増加となっています。そしてよく見ると2017年のチームの総年俸は31億円でしたので、イニエスタ1人分とほぼ同じというのは凄いですね(笑)

ちなみに人件費以外にも販管費、トップチーム運営費、物販関連費などが2017年と比べるとかなりの割合で増えているのがわかります。特にトップチーム運営費が大きな伸びとなっていますが、この内訳がどのようなものかは公開されていないのでなぜここまで伸びたかはわかりませんでした…。

イニエスタの人件費は余裕でペイしている

今回の調査でイニエスタ加入前の2017年とイニエスタがフルで寄与した2019年で売上と支出を比べて見るとこのようになっています。

項目20172019増減
売上52.4億円114.4億円+62.0億円
支出53.4億円110.0億円+56.6億円
収支-1.0億円4.4億円+5.4億円

イニエスタの年俸は32億円と言われていますが、イニエスタが加入したことで売上自体は62億円も伸び、支出増加分の56.5億円を余裕で上回っています。しかも、2019年からフェルメーレン(年俸5億)も加入しましたので2019年の支出増加分は全てがイニエスタの分ではありません。

イニエスタが加入したときには「こんな高い年俸を払って大丈夫なのか?」という声がよく聞かれましたが、こうやって振り返ってみると余裕でペイしているかと思います。そしてヴィッセル神戸の世界的な知名度も抜群に上がっているかと思います。

この流れでJリーグに有名な選手、さらにはプロ野球にも有名な選手が来てくれるのを願うばかりです。

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